防犯カメラの選び方を7つの手順で解説!設置事例20選を紹介

防犯カメラの選び方を7つの手順で解説!設置事例20選を紹介

「防犯カメラを付けたい気持ちはあるけれど、正直どれを選べばいいのか分からない……」

「とりあえず高機能なものを選べばいいのかな?」

こうした悩みを持つそ中小企業の経営者の方は、少なくありません。

防犯カメラは、高機能なものを選んで設置すれば安心というものではありません。

設置場所・形状・録画方法・回線・必要な機能まで含めて考えてこそ、初めて“意味のある投資”になります。

しかし専門用語も多く、情報が断片的なため、途中で判断が止まってしまう方も多いのが実情です。

  • 店内と屋外、防犯カメラはどこに設置するのが正解なのか?
  • クラウド保存とHDD保存、結局どちらが自分の店に向いているのか?
  • 防犯カメラの回線は、専用回線にすべきなのだろうか?

このように、防犯カメラ選びでは「分からないこと」が次々に出てきます。

本記事では、防犯カメラの選び方を7つのSTEPに分け、設置場所から機能、注意点、業種別の設置例までを順序立てて解説します。

専門知識がなくても理解でき、読み終えたときには
「自分の事業所に何を選べばいいのか」がはっきり見える構成です。

最後に業種別に防犯カメラの設置事例20選を作成しています。

「とりあえず、自分の業種にあう防犯カメラを知りたい!」という人は、ぜひこちらから読んでみてください。

防犯対策を“なんとなく”で終わらせないために、ぜひ最後までご覧ください!

STEP1 防犯カメラの設置場所を決める

防犯カメラは、設置する場所によって適した性能が大きく異なります。屋内ではトラブルの記録や業務管理、屋外では抑止効果や侵入対策が重視されます。

  • 屋内に防犯カメラを設置
  • 屋外に防犯カメラを設置

まずは自社のリスクが高い場所を洗い出し、優先的にカバーすることが大切です。

屋内へ設置すべき代表的な理由と設置方法

防犯カメラを屋内へ設置する際、レジや金庫周辺の金銭管理、出入口やバックヤードの安全管理を目的にする場合が多いです。

その他にも、防犯カメラを設置することで顧客に安心感を与える、店舗の従業員の行動や接客を確認するといった目的にする場合もあります。

設置目的と設置方法を次の表にまとめています。ご自身にあった対応方法を確認してみましょう。

設置目的効果的な設置方法(理由)
レジや金庫の金銭管理レジや金庫を正面から撮影。顔や手元が映るよう高さ・画角を調整し、不正やトラブルの抑止に役立てる。
出入口やバックヤードの安全管理出入口を正面から映すよう壁面に設置。動体検知機能付きカメラを使うと、不審な動きを即座に把握できる。
顧客の安心感・防犯意識の向上目立ちすぎない小型カメラを設置し、必要に応じて「録画中」などの掲示物を併用することで、不安を軽減し抑止力を高める。
従業員の行動・接客の確認客席や作業場を広角でカバー。天井への設置とドーム型カメラの活用で、業務状況を自然に把握できる。

屋内カメラの役割は、犯罪防止だけでなく、店舗運営の効率や信頼性向上にもつながります。設置場所と目的を明確にすることで、より高い効果を得ることができるでしょう。

屋外へ設置すべき代表的な理由と設置方法

防犯カメラを屋外へ設置する際、不審者の侵入を防ぐことや、犯罪の抑止力を高めるために設置される場合が多いです。

その他には、特に夜間の駐車場や敷地内トラブルの防止、資材置き場やゴミ捨て場の管理といった用途にも使われます。

設置目的と設置方法を次の表にまとめています。ご自身にあった対応方法を確認してみましょう。

設置目的効果的な設置方法(理由)
不審者の侵入を防ぐ出入口や非常口を正面から映す位置に設置し、カメラの存在が分かるようにすることで侵入の抑止につなげる。
犯罪の抑止力を高める人目につきやすい場所に設置し、「録画中」などのステッカーと併用することで防犯意識を高め、犯行を思いとどまらせる。
駐車場や敷地内のトラブル防止駐車場全体をカバーできる高所に広角カメラを設置。赤外線LED付きなら夜間でもしっかり記録できる。
資材置き場やゴミ捨て場の監視管理対象エリアが広くても一望できる位置にカメラを設置し、防塵・防水性能(IP66以上)を備えた機種を選定。

屋外設置では、様々なトラブルの抑止効果を期待して設置する場合が多いです。その際ポイントになるのが、防犯カメラの形状や接続方法です。

防犯カメラの形状によって耐久性や視認性が大きく変わり、接続方法によって設置できる場所に限りが出てきます。

7つの手順を1つ1つ確認することで、設置できる内容が分かるため、最後までぜひ読んでみて下さい。

STEP2 防犯カメラの形状を決める

防犯カメラは見た目の形状によって、機能が大きく変わります。特に屋外へ設置する場合は、防犯カメラに雨風に耐えられる防塵防水機能が必須となってきます。

設置場所や設置する目的に応じて、適切なタイプを選ぶことで、防犯カメラを効果的に使うことができるようになります。

今回は屋内設置に多いドーム型、屋外設置に多いボックス型、スマートカメラの3つをご紹介します。

  • ドーム型
  • ボックス型
  • スマートカメラ

設置場所を決めたら、防犯カメラを設置する目的に応じて、最適な防犯カメラの形状を選ぶようにしましょう。

ドーム型

ドーム型カメラは、半球状のカバーに覆われているタイプで、カメラの向きが外から見えにくいのが特徴です。

そのため監視されている範囲が推測しづらく、抑止効果も一定以上あります。

カフェや美容院、レストランなど、雰囲気を重視する場所に最適です。

視野角が広い反面、遠距離撮影やズーム機能は限られるため、複数台の設置で死角をカバーする構成が効果的です。

主な設置場所

  • 店舗のレジ周辺や客席
  • オフィスの出入口や通路
  • ビル・マンションの共有スペース
  • 学校・塾の教室内

初めての導入にも向いており、室内設置では最も人気のある形状の一つです。

次の記事でドーム型の防犯カメラについて解説しています。

ボックス型

ボックス型は、見た目の通りカメラの存在感が強いため、防犯を目的としていることを相手に伝えたい場所に最適です。

またボックス型カメラは、基本的に雨風を凌ぐ防塵防水機能を搭載しているため、屋外への設置ができる要因なっています。

防犯カメラによっては、望遠レンズへの交換や高倍率ズームに対応しており、車両のナンバー確認などの用途にも適しています。

主な設置場所

  • 駐車場や資材置き場
  • 店舗の外周
  • 工場や倉庫の搬入口
  • オフィスビルの出入口

ただし外観の印象が強いため、店舗の雰囲気との調和には注意が必要です。

スマートカメラ

スマートカメラは、Wi-Fiやアプリに対応した最新型で、動体検知・首振り・ズーム・双方向音声など多機能が特徴です。

クラウド録画やスマホ通知など、運用のしやすさに優れ、家庭用から小規模事業者まで幅広く利用されています。

主な設置場所

  • 小規模店舗の店内・出入口
  • 自宅の玄関や駐車スペース
  • 小規模オフィス
  • 無人店舗・キオスク端末周辺

簡易的な使い方を除き、法人の方が設置する場合は、ドーム型、ボックス型のいずれかで選ぶのがおすすめです。

STEP3 防犯カメラの録画方法を決める

録画方法の選択は、防犯カメラの活用度を左右する重要なポイントです。保存形式や管理方法によって、運用の手間や費用、セキュリティ性が大きく変わります。

  • クラウド保存
  • HDD保存
  • SIMカード保存

それぞれの特徴を理解し、自社の規模や利用目的に合った保存方法を検討しましょう。

クラウド保存

録画した映像をインターネット経由でクラウド上に保存する方式です。

録画データが物理的に残らないため、盗難や災害による紛失リスクが少なく、遠隔からスマートフォンやPCで映像確認できるのが利点です。

定期的な機器メンテナンスも不要で、ITに不慣れな方でも比較的扱いやすい方式です。

ただし、通信環境が不安定な場合は映像が途切れることがあるため、安定したネット回線が前提となります。

月額費用が発生する場合が多いため、予算とのバランスも検討が必要です。

クラウド保存をおすすめしたい人

クラウド保存はインターネット経由で録画データが可能なため、遠隔地からデータ確認が可能です。そのため現地から離れた場所に居住する方や、複数の現地を確認したい場合におすすめです。

またクラウド保存はランニングコストが掛かる一方、1度設定すればデータ消失リスクが極めて少ないため、管理コストを下げたい方にもおすすめです。

HDD保存

録画機(レコーダー)に内蔵されたHDDへ映像を保存する、最も一般的な方法です。

常時録画やモーション録画などに対応し、1週間〜1カ月程度のデータ保存が可能です。

HDDは物理的に手元に残るため、インターネット回線に依存せず安定した録画が可能です。長期間の録画や高画質を求める場合にも適しています。

一方で、HDDが故障した際には録画データが消失する恐れがあるため、定期的な交換やバックアップが推奨されます。

HDD保存をおすすめしたい人

HDD保存は、初期費用が掛かりますがランニングコストを抑えたい方には、おすすめできる保存方法です。また1つのHDDを使って、防犯カメラはもちろん、社内のファイルサーバーとしても兼用が可能です。

録画データの消失するデメリットを抱えますが、月額費用を抑えたい方や、自身で細かく録画データの他にも、複数データを管理したい方にはおすすめです。

SIMカード保存

一部の小型カメラや移動用カメラでは、録画データをSIMカードやSDカードに保存する形式も選ばれています。

設置が簡単で配線が不要なため、一時的な監視やレンタル物件などへの導入にも適しています。

コストを抑えたい場合や、録画時間が限られていても構わないケースでは有力な選択肢となります。

ただし、保存容量が少なく、定期的なカード交換やデータ取り出しが必要な点には注意が必要です。またSIMカードを抜き取られてしまった場合は、保存データが消失してしまいます。

このようなデメリットが大きいため、SIMカード保存は当ブログでは推奨していません。

SIMカード保存は極力避けるのが良い

SIMカードへの保存は、コストの安さが魅力です。

しかし保存容量が少ないため定期的な交換が必要であることや、データを取り出す際は現地へ訪問する必要があるため、使い勝手が悪いです。

データがいざ必要になった際、現地の近くなら良いですが数時間も離れた先の場所へ取りに行くのは大変です。時にはトラブル発生時、もしくは警察から速やかな提供を求められるケースもあるため、大切なポイントです。

家庭用の防犯カメラ等の簡易的なものなら許容範囲かもしれませんが、法人の方が使うのは避けるようにしましょう。

STEP4 防犯カメラの接続方式を決める

防犯カメラは録画や電源供給のために配線や通信が必要です。接続方式によって施工のしやすさや費用、映像の安定性が変わるため、設置場所の環境と照らし合わせて選定することが大切です。

  • 防犯カメラの代表的な接続例
  • 防犯カメラの接続方法は有線接続、無線接続の2種類
  • 防犯カメラの給電方法は、AC電源、PoE、ソーラーパネルの3種類

それぞれの方式を理解して、現場に合う方法を検討しましょう。

防犯カメラの代表的な接続例

防犯カメラの構成は、クラウド保存、HDD保存によって変わってきます。

クラウド保存の接続構成
インターネット回線
②ルーター
③PoEハブ
④防犯カメラ

クラウド保存の場合、ルーター、PoEハブ、防犯カメラをLANケーブルにて接続します。

HDD保存の接続構成
インターネット回線 or モニター
②HDD(ハードディスク)
③録画機(NVR / DVR)
④防犯カメラ

HDD保存のよく使われる接続構成としては、カメラからレコーダーへLANケーブルや同軸ケーブルを伸ばし、さらにレコーダーをモニターやインターネットに接続する方式があります。

最近はレコーダーを使わず、クラウドに直接映像を送信するIPカメラも普及しています。

どちらも代表的な構成例なため、現地の環境に応じて設定を組み替えます。

スマートカメラの場合は、防犯カメラをインターネット回線へ接続すれば設定が完了するため、非常に簡易的に使えるのが特徴です。

防犯カメラの接続方法は有線接続、無線接続の2種類

有線接続は、LANケーブルや同軸ケーブルでレコーダーとカメラをつなぐ方式です。

通信が安定し、映像の遅延や干渉が少ないため、長時間の常時録画や高画質を求める場合に適しています。

ただし物理的な回線を敷く必要があるため、屋外の設置や天井への設置は、設置工事に手間が掛かってしまうのがデメリットです。

有線接続(LANケーブル・同時ケーブル)のポイント

防犯カメラの接続は、基本的に有線接続がおすすめです。物理的に防犯カメラとLANケーブルや同軸ケーブルで接続するため、遅延や干渉が少なく、正確に録画データを残すことができます。

工事に手間は掛かりますが、防犯カメラを設置する際の基本的な接続方法です。

一方、無線接続(Wi-Fi)は工事が簡単で設置コストを抑えやすく、電源が確保できれば柔軟な設置が可能です。

ただし、電波干渉や通信不良のリスクがあるため、建物構造やルーターの位置を考慮して設計する必要があります。

無線接続(Wi-Fi)チェックポイント

無線接続は、法人であれば避けるのが望ましいです。

Wi-Fiは通信が不安定で、一見接続ができているように確認できても、電波が干渉すれば通信ができない可能性があります。

例えば、通信端末が増えれば回線が込み合ってしまう、電子レンジなど他の電子機器を使うと同じ電波帯のWi-Fiは通信が干渉し合い使えなくなるといったことが想定されます。

こうしたことから、Wi-Fiの接続は極力、避けるのをおすすめしています。

次の記事で、無線接続の防犯カメラについて、詳しく解説しています。

無線接続の防犯カメラが気になった方は、チェックしてみてください。

防犯カメラの給電方法は、AC電源、PoE、ソーラーパネルの3種類

防犯カメラの給電方法は、一般的なAC電源(コンセント)、PoEハブ給電、ソーラーパネルの3種類です。

特徴と向いている設置場所を表にしてまとめました。

給電方法特徴向いている設置環境・用途
AC電源(コンセント)家庭用電源から直接給電でき、導入しやすいが、電源の近くにしか設置できない。停電時は停止リスクも。室内・小規模店舗・家庭用防犯カメラ
PoE給電(LAN経由)LANケーブル1本で給電と通信ができ、配線がすっきり。PoE対応機器が必要。法人、オフィス、ビルなど複数台設置がある現場
ソーラーパネル電源がない場所でも設置できる。天候に左右されるが、電源工事不要。主に無線カメラと併用。山間部、資材置き場、空き地、電源が取れない屋外

AC電源は家庭用コンセントから給電する方式で、最も一般的です。室内や電源が確保できる場所は、AC電源を利用すれば問題ありません。

PoE(Power over Ethernet)給電が、ハブやスイッチからLANケーブル1本でデータ通信と給電を同時に行う方式です。これにより例えば天井裏や外壁など、電源確保行が難しい場所でも防犯カメラの設置が可能となります。

ソーラーパネルは、電源確保が困難な場所に活用されます。例えば屋外の建設現場や、周辺に電気が整備されていない地域では、有効な手段です。ただし、天候や日照条件に左右されるため、常時録画には不向きなケースもあります。

給電方式を選ぶ際は、設置環境の条件と運用の継続性を重視しましょう。

STEP5 防犯カメラに詳細な機能を決める

防犯カメラ選びでは、必要な機能を見極めることがコストと効果の分かれ道になります。高機能なモデルほど安心感は高まりますが、すべての機能が必須とは限りません。

店舗や事業所の規模、設置場所、想定するリスクに応じて取捨選択する視点が重要です。

主に検討すべき機能は以下のとおりです。

  • 画素数
  • 防塵防水
  • 動体検知/人感検知
  • PTZ(首振り・ズーム)
  • 広角レンズ
  • 赤外線LED

例えば、顔や手元を明確に残したい場合は高画素数が有効ですし、屋外設置なら防塵防水性能は欠かせません。

機能名概要(できること)主なメリット
画素数映像の細かさ・鮮明さを示す数値画素数が高いほど顔やナンバーを識別しやすい
防塵防水ほこりや雨に耐える性能(IP規格)屋外でも安定して使用できる
動体検知/人感検知人や物の動きを検知して録画・通知無駄な録画を減らし管理が楽
PTZ(首振り・ズーム)カメラを回転・拡大して遠隔操作広い範囲を1台で監視可能
広角レンズ広い範囲を一度に撮影できる死角を減らせる
赤外線LED暗闇でも撮影できる夜間機能夜間・無人時間帯でも安心

これらは映像を録画して、保存する防犯カメラを支える機能です。防犯カメラを設置する環境(屋内や屋外)や、設置する目的に応じて検討しましょう。

STEP6 防犯カメラに必要な視聴方法を確認

防犯カメラは、必要なときに映像を確認できるかどうかが、実際の使い勝手を大きく左右します。

主な視聴方法は次の3つです。

  • 現地のモニターからデータを確認
  • 外出先からPCやスマホでデータを確認
  • 現地の防犯カメラからSIMを取り出し確認

「いつ・どこで・誰が確認するのか」を想定して選ぶことが重要です。運用イメージに合わない視聴方法を選ぶと、結局使い物にならない可能性があります。

現地のモニターからデータを確認

現地モニターでの確認は、最も基本的で安定した視聴方法です。レコーダーとモニターを接続し、その場で録画映像を再生できます。

インターネット環境に左右されにくく、操作も直感的なため、ITが苦手な方でも扱いやすい点が特長です。

モニター確認の具体例
警備室から防犯カメラ映像を確認
ホテルの受付から各フロアの様子を確認

営業時間中の現場環境の確認やトラブル発生時の迅速な対応、スタッフとの振り返りには非常に便利です。

ただし、店舗にいないと映像を確認できないため、外出が多い経営者や店舗の責任者は、不便に感じる場合もあります。

「現地で確実に確認できる安心感」を重視するなら、現地のモニターから確認する方法は、主な選択肢の1つです。

外出先からPCやスマホでデータを確認

遠隔視聴は、経営者や店舗責任者にとって非常に利便性の高い方法です。

インターネット経由で映像を確認できるため、自宅や外出先でも店舗の状況を把握できます。深夜の異常確認や、複数店舗の一括管理にも向いています。

スマホ確認の具体例
経営者が離れた場所から店舗の状況を確認
複数店舗を経営するオーナー、店舗責任者が各店舗の状況を確認

複数の店舗を所有している場合、店舗ごとの集客状況や接客レベルのチェックにも活用が可能です。

またスマートフォンアプリを使えば、通知機能と連動させることも可能です。例えば異常検知を知らせるアラート機能があれば、すぐに異常事態の把握が可能です。

一方で、回線トラブルや設定不備があると映像が見られないケースもあります。導入時は通信環境とセキュリティ設定をしっかり確認することが重要です。

現地の防犯カメラからSDカードを取り出し確認

SDカードを取り出して確認する方法は、コストパフォーマンスの高い確認方法です。

現地で物理的にSDカードを取り出し確認を行うため、誰でも録画データのチェックが可能となります。

SDカードから確認する具体例
マンションの共用部へ設置し録画データを必要に応じて確認
短期間の建設現場で設置し、後期が終われば取り外し

インターネット回線が不要なため、一時的な監視や簡易的な用途に適しています。小規模な倉庫や短期間の利用では選ばれることもあります。

ただし、確認のたびに現地へ行く必要があり、手間がかかります。

実際に私が営業としてお客様対応を行った際、不動産管理を行うとある企業様が使い勝手の悪さに不便を感じていました。

複数の不動産を管理しており、管理物件が広範囲であったため、必要に応じて現地へ行く手間がとても掛かると嘆いていらっしゃいました。

特に年末年始やGW、お盆期間といった時期に問い合わせが入ってしまうと現地へ行くしかなないとのこです。

このように導入のしやすさや、コストパフォーマンスに優れる一方、用途に応じて検討しないと防犯カメラが必要な際に使い物にならない可能性があります。

また、保存容量が限られるため、長期間の録画には不向きです。

「最低限の記録が残ればよい」という割り切った使い方でこそ活きる方法と言えるでしょう。

STEP7 防犯カメラを選ぶ際に気を付けたい4つの注意事項を確認

防犯カメラは性能や機能だけで選ぶと、導入後に思わぬ負担が発生する可能性があります。

長く安心して使うためには、事前に確認しておくべき注意点を整理しておくことが欠かせません。

  • 費用はいくらかかるのか
  • プライバシーは配慮して防犯カメラを設置されているか
  • メンテナンスは誰が行うか
  • 防犯カメラの回線は専用回線にすべきか

ここでは、導入前に必ず押さえておきたい4つの視点を解説します。

費用はいくらかかるのか

防犯カメラの費用は、本体価格だけで判断すると失敗しやすいポイントです。実際には「初期費用」と「運用費用」の両方を考える必要があります。

初期費用には、カメラ本体、録画機、設置工事費が含まれ、小規模店舗でも数十万円程度が目安になります。

一方、クラウド保存や保守サービスを利用する場合は、月額費用が継続的に発生します。

「初期費用を抑えたいのか」「月額でも安定運用したいのか?」を明確にすると、無理のない選択ができます。

防犯カメラの費用について、次の記事で詳しく解説しています。

プライバシーは配慮して防犯カメラを設置されている

防犯カメラの運用では、過去に実際に起きているプライバシートラブルを知っておくことが重要です。

防犯目的で設置したにもかかわらず、配慮不足が原因でクレームや紛争に発展した事例も少なくありません。

プライバシートラブルの例
・従業員が「常に監視されている」と感じ、精神的負担を理由に退職してしまった
・カメラ映像に近隣住宅の敷地が映り込み、近隣住民から抗議を受けた
・来店客が無断撮影と受け取り、SNSで店舗名を挙げて批判された

こうしたトラブルを防ぐためには、撮影範囲を必要最小限に限定することが基本です。更衣室やトイレ付近はもちろん、不要な場所が映らないよう角度調整やマスキング機能を活用しましょう。

仮にプライバシー侵害を理由に民事訴訟を起こされてしまい、裁判にて認められれば、損害賠償請求を受ける対象となります。

また、「防犯目的で設置している」ことを店内掲示や社内説明で明確にすることも大切です。

事前の配慮と説明が、信頼を守る最大の防御策になります。

メンテナンスは誰が行うか

防犯カメラは、設置後のメンテナンス体制が非常に重要です。

防犯カメラを設置すれば常に確認ができるわけではなく、レンズの汚れや接続不良、防犯カメラ本体やHDDの故障といったリスクが付きまといます。

清掃や接続のチェックは簡単ですが、故障が起きた場合どのように対応するかを予め決めておくことが重要です。

録画不良、HDDの故障などは、防犯カメラを設置しても意味をなさなくなってしまいます。

「誰が対応するのか?」を曖昧にせず、導入時に決めておくことが運用の安定につながります。

防犯カメラの回線は専用回線にすべきか

遠隔視聴やクラウド保存を利用する場合、通信回線の安定性は非常に重要です。

映像データは通信量が多く、他の業務通信と併用すると遅延や不具合が出ることもあります。店舗の利用状況によっては、防犯カメラ専用に回線を分けた方が安心なケースもあります。

一方、小規模店舗であれば、既存回線を活用して問題ない場合も少なくありません。

「常時監視が必要か?」「業務への影響は?」を基準に、専用回線の要否を判断しましょう。

ダミーカメラは効果があるのか?

防犯カメラを選ぶ際、コストパフォーマンスを重視される方はダミーカメラも選択肢にあがっているかもしれません。

ダミーカメラは防犯カメラを設置するまでの一時的な代替手段としては候補になります。しかし録画はできず、見破られる可能性も高いため、防犯カメラ対策としてはあまり効果がありません。

  • LEDランプが常時点灯している
  • 配線がない
  • カメラが汚れていない

こうした特徴がある場合は、ダミーカメラの可能性が高くなります。

ダミーカメラについて詳しく知りたい方は、次の記事をご確認ください。

知っておきたい!代表的な設置例20選(業種別)

ここまで読んでいただいた方のうち、不慣れな方は「結局、どれを選んだらいいのか?」とお困りかもしれません。

そうした方は、ぜひ業種業態別の設置例から自社に近い設置方法を確認してみて下さい。

なぜなら防犯カメラを「どこに」「どんな目的で」設置すれば効果的かは、業種や設置場所に応じて、大きく変わってきます。

ここでは、中小企業や店舗経営者にとって参考になる代表的な設置場所・用途の事例を20個ご紹介します。

業種別設置事例を見ていただくと、以下のような共通点が見えてきます。

  • 目的は業種で大きく異なる
  • 設置場所は「入口+死角」が基本
  • マンション・医療・介護は特にプライバシー配慮が必須
  • 屋外は 夜間性能・耐候性が最重要

「自分の店ならどこに設置すべきか?」を具体的にイメージできるヒントにしてください。

店舗・サービス業(来店客対応が中心)

業種主な目的主な設置場所注意ポイント
飲食店トラブル防止・金銭管理レジ/入口/ホール客席を映しすぎない
小売店万引き防止入口/レジ/通路死角をなくす
コンビニ強盗対策レジ正面/入口夜間性能・長期保存
美容室防犯・金銭管理入口/レジ鏡の映り込み注意
エステ・整体トラブル抑止入口/受付施術室はNG
コインランドリー盗難・いたずら防止店内全体/入口24時間営業前提

店舗やサービス業の場合、入口や通路といった人通りが多い共用部、お金を扱うレジ周り、店舗全体を見渡せる場所の3つの位置に設置される場合が多いです。

店舗・サービス業によくある設置事例
・不特定多数の方が通る入口や通路
・金銭を扱うレジや金庫周辺
店舗全体を見渡せる場所

これらの設置場所は、基本的に屋内へ設置かつ天井へ設置される場合が多いです。また広範囲が見えることが望ましいため、防犯カメラは、ドーム型の形状が推奨されます。

録画方法や接続方法は、設置位置や映像の確認方法に合わせて、どちらでも特に問題ありません。

また防犯カメラの性能は、PTZ(首振り機能)や、広角レンズ(広範囲の説明が可能)を選ぶと使いやすいはずです。

オフィス・教育系(人の出入り管理が中心)

業種主な目的主な設置場所注意ポイント
事務所不正侵入防止入口/執務室入口常時監視は避ける
ITオフィス情報資産保護入口/サーバー周辺監視範囲を限定
学習塾生徒の安全管理入口/廊下教室内は避ける

オフィス・教育系の場合は、入口や廊下といった共用部、加えて事務所内やサーバー周辺といった重要な書類や機材が設置されている場所への設置が推奨されます。

オフィス・教育系によくある設置事例
・不特定多数の方が通る入口や通路
・重要な書類や機材を設置する事務所内やサーバー室

店舗やサービス業と同様、基本的に屋内へ設置かつ天井へ設置される場合が多いです。また広範囲が見えることが望ましいため、防犯カメラは、ドーム型の形状が推奨されます。

録画方法は複数場所を1度に閲覧する使い方よりも、少数の台数を必要に応じて確認する使い方のため、運用が簡単なクラウド保存の防犯カメラが使い勝手が良いです。

医療・福祉・宿泊・不動産管理(配慮が特に重要)

業種主な目的主な設置場所注意ポイント
医院・クリニック防犯・トラブル対応受付/入口診察室はNG
介護施設安全管理入口/共用廊下利用者の尊厳配慮
ホテル・旅館防犯・盗難防止フロント/廊下客室エリアNG
民泊不正侵入防止玄関外/共用部事前説明必須
マンション管理(分譲・賃貸)不審者侵入防止・トラブル抑止エントランス/エレベーター前/駐輪場掲示義務・住民のプライバシー配慮

医療・福祉・宿泊・不動産管理の場合は、入口や廊下といった共用部への設置が推奨されます。

またこれらの業種の場合、他の業種に加えてプライバシーの配慮が必要です。

プライバシーの配慮が必要な例
・医療は診察室は撮影しない
・介護、ホテル、旅館、民泊、マンションは、各居室部が映らないよう配慮
・駐車場や共用部などの屋外へ設置する場合は地域住民住宅施設映らないよう配慮

プライバシーの配慮ができていない場合、民事訴訟から損害賠償請求を受ける可能性も考えられます。

また損害賠償請求以外にも、名誉棄損も該当する場合もあり、金銭的な負担に加えて、社会的な責任を求められ、信用失墜につながるため、特に配慮が必要です。

倉庫・屋外・作業系(盗難・事故対策)

業種主な目的主な設置場所注意ポイント
倉庫盗難防止入口/通路暗所対応必須
工場安全管理危険エリア目的の明確化
建設業資材盗難防止資材置き場屋外・夜間性能
自動車整備車両盗難防止敷地入口/展示場動線を映す
ガソリンスタンド無断給油対策給油レーン逆光対策
駐車場当て逃げ防止出入口/車路ナンバー認識

倉庫・屋外・作業計の場合、入口や通路、重要な荷物を補完する危険エリア、資材置き場、展示場、給油レーンといった場所へ設置されます。

倉庫・屋外・作業系によくある設置事例
・不特定多数の方が通る入口や通路
・重要な荷物を補完する危険エリア、資材置き場、展示場、給油レーン

加えてこれらの場所は、屋外にある場合が多いため防塵防水機能を備えたボックス形状の防犯カメラの設置が推奨されます。

また録画方法は複数場所を1度に閲覧する使い方よりも、少数の台数を必要に応じて確認する使い方のため、運用が簡単なクラウド保存の防犯カメラが使い勝手がおすすめです。

まとめ

今回は、防犯カメラの選び方について、要点を整理してお伝えしました。

この記事で伝えたかったのは、防犯カメラ選びは「高性能な機種を選ぶこと」ではなく、「自分の店舗や事業所に合った構成を選ぶこと」、また「カメラ本体を選ぶだけでなく、設置場所を決めてから保存方法や接続方法を決める」という点が重要ということです。

改めて防犯カメラを設置する流れをお伝えします。

  • STEP1 防犯カメラの設置場所を決める
  • STEP2 防犯カメラの形状を決める
  • STEP3 防犯カメラの録画方法を決める
  • STEP4 防犯カメラの接続方式を決める
  • STEP5 防犯カメラに詳細な機能を決める
  • STEP6 防犯カメラに必要な視聴方法を確認
  • STEP7 防犯カメラを選ぶ際に気を付けたい4つの注意事項を確認

まずは設置場所を決めてから、防犯カメラの形状や録画方法、接続方法を決めていきましょう。

防犯カメラを選ぶと言っても、カメラ端末だけを選べばよい訳ではなく、防犯カメラを利用するにあたって必要な録画方法や接続方法を決める必要があります。

またすべての機能が必要というわけではないため、どのような防犯カメラ映像を確認したいのかを考えて、防犯カメラ端末を選ぶようにしましょう。

もしどのような設置をすればいいか分からない人は、代表的な設置例20選から、どのように防犯カメラを設置すればよいのか検討してみて下さい。

防犯カメラは、防犯の抑止効果はもちろん、家族や従業員、お客様へ安心感を与えてくれます。

さらに使い方次第で、社員管理やサービス品質の向上にも役立ちます。

今回の記事を振り返りながら、まずは自分の店舗で「どこを守りたいのか」を考えるところから、一歩踏み出してみてください。

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