IP-VPNを導入したら何ができるの?
この記事では、IP-VPNについて、仕組みや構築方法を解説していきます。
VPNとは?インターネットVPN、IP-VPNの違い、活用方法を解説
VPNとは、バーチャルプライベートネットワーク(Virtual Private Network)の略称。日本語では、仮想専用線を意味します。
VPNには、IP-VPN、インターネットVPNの2つの種類があります。
<VPNの主な種類>
- IP-VPN
- インターネットVPN
この記事では、IP-VPNについて仕組みや構築方法から、導入のメリットや活用例について解説をしていきます。
- IP-VPNの仕組み
- IP-VPNの構築方法
- IP-VPNの活用方法
VPNとは?インターネットVPN、IP-VPNの違い、活用方法を解説
IP-VPNとは?
IP-VPNとは、閉域VPNとも呼ばれ、インターネットを介さない閉域網での通信ができます。
インターネトに接続するためには、通信キャリアが提供するネットワーク、インターネットプロバイダーのプロバイダーを経由します。
IP-VPNは、インターネットに接続する手前の通信キャリアやインターネットプロバイダーなどの通信事業者網を経由して通信を行うため、インターネットを経由せずにデータ通信が可能。
通信事業者の通信網を活用するため、インターネットを経由するインターネットVPNよりもセキュリティが高いのが特徴です。
IP-VPNの仕組みは?構築方法は?
IP-VPNは、各拠点にルーターを設置し、通信キャリアのVPNサーバー(VPN接続装置)へ接続をします。VPNサーバーへ接続をし、認証を行うことで特定の拠点からのみアクセスができるようになります。
サーバーへの接続、認証が全て通信事業者が持つ通信網内で完結するため、インターネットを経由する必要がありません。閉域網での通信となり、極めてセキュリティの高いデータ通信が可能になります。
そのため自前での通信網を構築することが困難であり、通信事業者へのサービスへ加入が必須となります。
またIP-VPNにてネットワークを構築することで、インターネットへの接続方法も決めることができます。ある特定の拠点を経由して、インターネット接続をさせることも可能。
昨今のセキュリティ被害の状況から、法人はUTMなどのセキュリティ対策装置の導入が必須になっていますが、特定拠点からのみのインターネット接続をするネットワークにしてしまえば、セキュリティ対策装置を全ての拠点へ導入する必要はありません。
データ通信を安全にできるだけでなく、企業のネットワーク全体のセキュリティを高めることもできるのが、IP-VPNです。
IP-VPNを活用するメリット・活用シーン
IP-VPNのメリット①閉域網で安全なデータ通信
IP-VPNを活用することで、複数拠点間のデータ通信をセキュリティ高く、更に便利に実施ができます。
法人の方で複数の拠点がある場合、拠点間のデータ通信を整備するのは意外に大変です。
- メールでいつも送るのは面倒
- オンラインストレージ(クラウド)へ預けるのは心配
- 安全にデータの受け渡しがしたい
IP-VPNは、まさにこうした法人の方のためにあるサービス。
IP-VPNを活用すれば、閉域網でセキュリティが高い通信ができます。そして図のように支店から本社のサーバーへアクセスすることも可能。
バーチャルプライベートネットワーク(仮想専用線)という名の通り、離れた場所からでも同じネットワークへアクセスすることができるんです。
IP-VPNのメリット②セキュリティ対策装置を全拠点へ導入する必要がない
IP-VPNを活用することで、セキュリティ対策装置を最小限に抑えることが可能です。
法人ではUTMなどのセキュリティ対策装置を導入されている拠点が方が多いのではないでしょうか。企業を守るためと言えど、年間で十万円程度の費用が発生します。
そして複数の拠点があれば、それぞれの拠点にセキュリティ対策装置の導入が必要。でもIP-VPNを利用すれば、セキュリティ対策装置を最小限に抑えられます。
セキュリティ対策装置を最小限に抑える方法は、IP-VPNを活用しインターネットへの接続をある特定拠点飲みに制限させる。そしてインターネット接続をする際は、特定拠点を経由させる。
そうすれば特定拠点のみセキュリティ対策装置を導入すれば、1台のセキュリティ対策装置のみで全拠点のセキュリティを安全に保つことが可能。
図のように本社からのみインターネット接続ができるようにすれば、最小限のセキュリティ対策装置でネットワーク全体を守ることができるんです。
IP-VPNのメリット③高速で遅延が少ない
IP-VPNを利用することで、通信速度が向上することが多いです。
通信事業者ごとにIP-VPNのスペックは違いますが、どの通信事業者でもIP-VPNは閉域網のサービスであり、通常のインターネット接続をする網とは別の設備を構築しています。
そのため通常のインターネット接続と比べ、速度遅延が少なくなります。特に容量の大きいデータを受け渡しする場合、通信速度の改善は業務効率化に直結。
もしデータの受け渡しの効率化を考えるのであれば、オンラインストレージサービス(クラウド)へダウンロード、アップロードなどの時間や手間を考えれば、IP-VPNの通信網を構築すれば、業務効率化に大きく影響します。
IP-VPNのまとめ
この記事では、IP-VPNの仕組みや構築方法について、解説をしてきました。
- IP-VPNとは、インターネットを介さない閉域網での通信
- 通信事業者の閉域網を使う
- IP-VPNを活用することで、拠点間の安全なデータ通信、セキュリティ対策、高速かつ遅延のないネットワークが構築できる
一般的に使われるインターネットVPNとは違い、通信事業者の閉域網を使うサービスのため、割高ではあるものの、複数の拠点を持つ法人にはおすすめができるサービス。
拠点間の安全なデータ通信や、複数拠点のセキュリティ対策、データ通信速度の改善など、メリットは多いです。